こんにちは!NBA観戦が大好きな皆さん、そしてバスケットボールにちょっとでも興味がある皆さん。試合中、選手たちの足元に注目したことはありますか? 実は多くのNBA選手たちが、自分のバスケットシューズ(通称「バッシュ」)にサインペンなどでさまざまなメッセージを書き込んでいるんです。そうしたメッセージには、主にいくつかのカテゴリーが見られます。このブログ記事では、アメリカの報道や情報源にもとづいて、代表的な例をカテゴリーごとにご紹介していきます!


NBA選手のバッシュに書かれるメッセージの事例

個人のモチベーション向上を目的としたメッセージ

まずは、選手たちが自分の士気を高めるために書くフレーズについて。これはまさに「自分の座右の銘を足元に刻む」ようなものですね。

例えば、ミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボは、自身を鼓舞するために「Man On A Mission(使命を帯びた男)」と靴に記すのが定番。ここには「絶対に目的を達成する」という強い意志が込められているとのこと。

ロサンゼルス・レイカーズのレブロン・ジェームズは2019年にプレーオフ進出を逃した悔しさをバネに、翌シーズンのシューズに「#RevengeSeason(復讐のシーズン)」と書き込み、リベンジを果たす決意をアピールしました。

さらに、オクラホマシティ・サンダー(当時)のラッセル・ウェストブルックは、自身のモットー「Why Not?(やってみなければわからないだろ?)」を頻繁に書いています。これが彼のプレースタイルだけでなく、チャリティ基金の名称にも反映されているのは有名ですよね。

また、デトロイト・ピストンズ(当時)のスタンリー・ジョンソンは試合前の儀式のように「Improvise. Adapt. Overcome.(即興・適応・克服)」という格言をシューズに記していました。これによって「困難にも柔軟に対応し、乗り越える」という姿勢を常に自分に言い聞かせていたそうです。

こうした例からもわかるように、選手たちは自分の座右の銘やスローガンをバッシュに書き込むことで、自分自身を奮い立たせているんですね!


家族や友人への献辞

次に、家族や友人へ敬意や愛情を示すメッセージに注目してみましょう。多くの選手が、大切な人々の名前をそのまま靴に刻み込んでいます。

ボストン・セルティックスのジェイソン・テイタムは、愛息のニックネーム「Deuce(デュース)」を靴のヒール部分に書くのがルーティン。試合ごとに息子への想いをしっかりと表しているのは微笑ましいですよね。

レブロン・ジェームズもほぼ毎試合、自分の子ども(ブロニー、ブライス、ジュリー)や妻サバンナ、母グロリアの名前をシューズに書き込み、「#JamesGang」というハッシュタグで家族への愛情をアピールしています。

スタンリー・ジョンソンは右足の靴に母親や姉妹たちの名前(「Sharron」「Victoria」「Karen」「SJI」)を並べ、左足の靴には大きく「LOVE!」と書くスタイル。これには「家族への愛こそ最大の力」という信念がはっきりと表れています。

また、ラッセル・ウェストブルックは高校時代の親友でありチームメイトだった故人、ケルシー・バーズ3世(Khelcey Barrs III)を偲ぶ「KB3」というイニシャルをいつも靴に記しています。彼の夢も背負って戦う、というウェストブルックの強い覚悟が感じられますよね。

さらにダラス・マーベリックスのカイリー・アービングは愛娘アズリーちゃんへのトリビュートとして、靴に娘のイニシャル「AKI」とスペイン語で「Mi Amor, Te Amo(我が愛、愛している)」というメッセージを添えているそうです。

こうして選手たちは、家族や友人の存在を常に足元に感じながらコートで戦っているんですね!


宗教的な引用

信仰心や聖書の一節をバッシュに記すケースも非常に多いです。中でも有名なのが、ゴールデンステート・ウォリアーズのステフィン・カリー。大学時代から一貫して、自分のスパイクに「I Can Do All Things…(私は何事でもできる…)」と書き込んでいます。

これは新約聖書「ピリピ人への手紙 4章13節」の一節「I can do all things through Christ who strengthens me(私を強めてくださる方によって私はどんなことでもできる)」に由来。母親から勧められたローマ人への手紙8章28節にも触発され、最終的にピリピ4:13を自分の支えとなる言葉として選んだそうです。

以降、カリーはこのフレーズと聖句の引用「Phil 4:13」、そして自分のイニシャル「WSC(Wardell Stephen Curry)」を毎試合シューズのつま先部分に書き込むのがルーティンになりました。本人も「これは僕が毎日実践し、身をもって示したいと願うモットー。他の人にとっても、自分の原動力を見つけるきっかけになれば嬉しい」と語っています。

また、ブルックリン・ネッツ(当時サンダー)のケビン・デュラントは2014年、エリック・ガーナー事件への抗議として靴に「Black Lives Matter」と書く際、新約聖書「エペソ人への手紙 3章20節」の引用「Ephesians 3:20」も添えました。こうして信仰の言葉を自らの律しや精神的支えとしている選手も多いわけですね。


社会的・政治的メッセージ

近年のNBAでは、社会正義や政治的主張をバッシュのメッセージで表明する動きが増えています。

例えばレブロン・ジェームズは2020年のシーズン中、警官による暴力で命を落とした黒人被害者への正義を求めて、「Justice for George Floyd + Breonna Taylor」とシューズに書き込みました。これは「ジョージ・フロイドとブリオナ・テイラーに正義を」という意味で、ブラック・ライブズ・マター(BLM)運動への連帯を示すものです。

同じ靴には「8•24•2 ♡」という数字も記されていましたが、これはコービー・ブライアントの背番号8と24、そして娘ジアナさんの背番号2をハートマークとあわせて刻んだもの。さらに「More Than !!」や「TheKidFromAkron(アクロンの子)」、「I Promise」といったメッセージも添えられていて、ジェームズの出身地への誇りや社会活動への思いが一足のシューズに詰まっているんですよね。彼自身も「バブル(2020年の無観客試合隔離環境)でも、毎日声を上げ続けることが重要だ」と語り、ユニフォームではなく“自分の靴”をキャンバスとしてメッセージを発信し続けたわけです。

一方で、社会問題へのメッセージとして犠牲者の名前を靴に刻む選手もいます。フェニックス・サンズ(当時)のジェボン・カーターは2020年シーズン再開時、左右で色違い(白と黒)の靴を履き分けていました。特に白いシューズには警官の暴力や銃犯罪の犠牲者17人の名前をびっしりと書き込み、つま先には「All Killed(全員殺された)」、ヒール部分には「Respect Us(我々を尊重せよ)」と記していたんです。カーターは「あまり注目されていない被害者にも目を向けたかった」とインスタグラムで述べ、彼の靴はBLM運動においても強烈な抗議のシンボルとなりました。

さらにユタ・ジャズのドノバン・ミッチェルやヒューストン・ロケッツ(当時)のジェームズ・ハーデンなど、アディダス社と契約する多くの選手が2020年夏のリーグ再開に合わせて特別に制作された「Ready For Change(変革を受け入れる準備はできている)」という白黒ゴールドのシューズを履きました。この靴には繰り返し模様で「Say Their Names(彼らの名前を呼べ)」というフレーズがあしらわれており、人種的不正の犠牲者の名を忘れないようにするデザインなんです。こうしてNBA選手たちは、BLMや銃暴力の根絶、人権擁護といったメッセージを足元の言葉から力強く発信しているんですね。

社会的メッセージと個人の想いが重なるケース

元マイアミ・ヒートのドウェイン・ウェイドの例も見逃せません。2018年2月、フロリダ州パークランドの高校で銃乱射事件が発生し、17名の尊い命が失われました。その被害者の一人である17歳のホアキン・オリバー少年は生前、ウェイドを熱烈に応援しており、亡骸は彼のお気に入りのウェイドのユニフォームとともに埋葬されたそうです。

これを知ったウェイドは深く心を動かされ、復帰直後の試合から「Joaquin Oliver」と少年の名前をシューズに書き込み、シーズン残りを彼に捧げることを宣言しました。実際、その試合でウェイドは27得点という大活躍を見せています。

ウェイド自身は「僕を支持してくれる人々のためにできることがしたかった。彼とその家族に敬意を表したかったんだ」と語り、バッシュに込めた名前を通じて銃暴力の犠牲者への追悼と銃規制を求める声を世の中に発信したわけです。こうした個人的な思いが社会問題への意識と結びついたメッセージもまた、NBAではよく見られます。


記念日・追悼のメッセージ

最後に、特定の記念日や故人の追悼を目的とするメッセージについても触れておきましょう。

とくに大きな注目を集めたのは、NBAのレジェンドであるコービー・ブライアントの逝去に際して、多くの選手が行った追悼メッセージ。2020年1月26日にコービーと娘のジアナさんがヘリコプター事故で突然命を落とした直後、リーグのさまざまな選手たちが彼の背番号や愛称を靴に書き込みました。

元レイカーズで当時デトロイト・ピストンズのジョーダン・クラークソンは、Nike Kobe 4シューズに「24 forever(24よ永遠に)」と書き、コービーの背番号24番を永遠に忘れないという想いを刻んだんです。デリック・ジョーンズJr.(当時ヒート)はかかとに「R.I.P. Kobe」と書き込み、サクラメント・キングスのバディ・ヒールドは「Mamba 4 Life(マンバ=コービーは永遠)」など複数の追悼メッセージをバッシュに記しました。

「Mamba(マンバ)」はコービーの愛称で、こうした言葉の数々から、コービーの精神が生き続けることを願う選手たちの思いが伝わってきますね。当時ニューヨーク・ニックスのマーカス・モリスや当時ニューオーリンズ・ペリカンズのロンゾ・ボールなども、「Kobe」「Gigi」とそれぞれ靴に書いて試合に臨んでいました。リーグ全体で行われた、このシューズをキャンバスにした追悼は、コービーの偉大さとその影響力を物語っています。

個人的な身内や友人への追悼としては、元ボストン・セルティックスのアイザイア・トーマスが2017年プレーオフで見せた行動が胸を打ちます。試合前日に最愛の妹チャイナ・トーマスさんを交通事故で亡くし、その翌日プレーオフ第1戦を迎えた彼は、鮮やかなグリーンのシューズに「CHYNA I Love You(チャイナ、愛してる)」と書き込んだんです。さらに「R.I.P. Lil Sis(安らかに眠れ、妹よ)」や、亡くなった日付「4-15-17」も靴の側面に記し、コートに立ちました。

試合中ずっと妹の名を刻んだ靴を履き続け、チーム最多の33得点を挙げる大活躍。まさに「妹への想いを力に変えた」として大きく報じられました。

NBA選手が著名人とのつながりから追悼メッセージを書くこともあります。2019年3月、ロサンゼルスのラッパーで活動家でもあったニプシー・ハッスルが銃撃で亡くなった際、彼と親交の深かった選手たちが相次いで靴に追悼の言葉を記しました。

当時ロサンゼルス・クリッパーズのモントレズ・ハレルは白いReebokシューズに「R.I.P. Nipsey – 8/15/85-3/31/19」と黒インクで大きく書き込み、彼を偲ぶ思いを表現しました。同じ試合で当時クリッパーズのルー・ウィリアムズも「Money Making NIP」というニプシーの愛称をシューズに刻んでいます。

さらに、当時トロント・ラプターズのダニー・グリーンは、ニプシーがエリトリア系米国人だったことから、彼の本名「Ermias Asghedom(エルミアス・アスゲドム)」を祖先の地の言語であるティグリニャ語で書き込んだ靴と、英語で「R.I.P」と名前を添えたもう一方の靴を着用し、試合に臨みました。文化的背景にも配慮した追悼の形は、靴をキャンバスとしているからこそ可能な表現だと言えるでしょう。


まとめ

このようにNBA選手たちは、個人的なモチベーションから家族愛、信仰心や社会への提言、そして追悼の意まで――実に多彩なメッセージをバッシュに書き込んで発信しています。試合中、選手の足元に常にある言葉は、その選手自身だけでなく周囲の人々にもメッセージの意味を思い出させる強力なツールなんですね。まさにバッシュは、単なるスポーツギアを超えて、選手の内面や信念、社会への想いを映し出す“小さなキャンバス”になっているんです。

皆さんもNBAの試合を観るときは、ぜひ選手たちの靴にも注目してみてください。意外なメッセージが書かれているかもしれませんよ!


Sources

  • アメリカの主要メディア報道(ESPN、Andscape、Sports Illustrated、People など) 他